看護師の文野さんが車いすを押して、その後ろから男2人が付いて行く。

傍から見たら変な光景だっただろう。


「いいお天気でよかったねぇ~」


後ろから見る花怜ちゃんと文野さんは、なんとなく姉妹みたいに見えた。

花怜ちゃんはしゃべりにくいせいか、ほとんど話をしない。

だけど、文野さんはジェスチャーで通じるらしく、楽しそうにしている。


「“先生たちに感謝”だって」


そんな通訳までしてくれる。

公園に着いたら、日当たりのいい場所で一休みする。


「寒くない?大丈夫?」


オレがそう聞いたら、花怜ちゃんはニッコリとうなずいた。

車椅子を止めた隣のベンチに座って、花怜ちゃんの呼吸の様子を観察した。


「あ…せんせ……」


花怜ちゃんに呼ばれて目を合わせたら、今日はまっすぐオレを見てくれる。

そして、ポケットの中から何かを取り出して、オレに差し出したんだ。


「…なに?くれるの?」


ピンクの封筒に入った手紙らしきもの。

表には“道重先生へ”と書いてある。


「読んでいい?」


オレがそう聞いたら、文野さんが呆れたような声で言った。


「ちょっと!先生にはデリカシーってものがないの!?後でゆっくり読んで!」