丁寧に話したつもりだった。

花怜ちゃんの両親に、1時間半もかけてゆっくり話をした。

誠心誠意こめたつもりだった。

なのに…


「どうして治らないんだ!?今の時代、ガンだって治るというのに!もっと調べれば治療法があるんじゃないか!?」


父親から一方的に怒りをぶつけられて、返す言葉が見つからなかった。

オレが悪いのか?

…オレだって、治してあげたいのに。


「とにかく…花怜には話さないでください」


父親はそう言った。

母親は、ただ下を向いて涙を流していた。

空気がどんよりと重く、全身にのしかかってくるみたいだった。


「花怜ちゃんにとって一番いいように、私たちも協力させてください」


飯塚先生がそう言って、オレたちは説明室をあとにした。

後味が悪くて、仕事も手につかない。