「お前、あいつのこと好きなの?」
「な、なに言ってんの!? 好きなわけないじゃん!!!」
「嘘つけ・・・お前あいつのこと好きだろ!?絶対好きだな!」
「なっ、なんで勝手に決めつけんのよ!好きじゃないって言ってんじゃん!」
「いい加減気づけよ・・・俺の気持ち・・・」
「ん?なんか言った?」
「いい加減俺の気持ち気づけっつってんだよ!」
そう言いかれは私を強く抱きしめた・・・
「いいっ!これ良い! この妄想最高ー♪」
今日も彼氏のいない私、立花夢美(たちばなゆみ)の日課は 妄想することだ。 今日の妄想はとても良く、自信作だ。
私は次の妄想を考えようと頭をフル回転させようとしたとき。
「まーた妄想してんの!? 飽きないねー なんか見てて痛いよ?」
私の小っちゃいころからの幼なじみ、早海歩佳(はやみあゆか)が私を見てため息をついてい
る。
「むー、しゃーないやん!彼氏おらんのやから!歩佳は彼氏いるから毎日楽しいかもしんない
けどうちは彼氏いないから妄想しか楽しみがないの!」
自分で言っといて、泣きそうになる気持ちをおさえる。歩佳は美人さんだからもちろん彼氏が
いて、学校1のイケメン王子と付き合っている。
その上私は16年間生きてきた中で告られたこともなければ、付き合ったこともない。
だから、歩佳の完璧すぎる美貌を見るたびに自分と比べてしまい自分で1人、傷ついている。
「ふ~ん・・・そんなに彼氏欲しいの?」
「そりゃあ!欲しいに決まってんじゃん!」