私のクラスには、白馬に乗った王子様をそのまま三次元に引きずり出したような人がいる。

 その人は凄く優しくて、容姿が良いのは当たり前。それに話も面白いし、当然女子からの人気は高い。もちろん男子からも。

 そんな彼に、私は、山中千尋は恋してしまった。

 私は、クラスでは暗い方ではない。むしろ、どちらかと言われると明るい部類に入る。

「山中、プリントの問い三って分かる?」

「問い三、問い三……。あ、これか。これは代入するだけだよ」

「おっ、ありがとう。やっぱり山中は頭良いな」

 にっこり笑う彼は、金澤修也。私の好きな人。

「そんなことないよ。委員長に比べたら天と地の差だからさ」

「委員長と比べたらアウトだって。あいつはもう頭イカれてるからさ」

「おいおい金澤、誰が頭イカれてるって?」

「うわっ、委員長!」

 後ろからぬぅっと現れた委員長に、金澤君はかなり驚いたらしい。顔が大変なことになっていた。いわゆる顔面崩壊。まぁ、顔面崩壊してもかっこいいのは変わらないが。

「とりあえず、金澤は千尋ちゃんの邪魔しないの。早く学園祭のポスター描け!」

 委員長に言われて金澤君は渋々持ち場に戻ると、委員長に気付かれないようにこちらに向かってピースサインを送ってくれた。

 あなたのその笑顔に、私は惚れたんです──