手紙に続いて、ラブレターらしきものやローズクォーツも渡す。

女から急に悪意が消えた。

俺は落ち着いてきて、周りを見渡した。
翠さんはもういない。…岡本も。

「いつのまに、外へ…?」

「…」

前にいる女はだまったままだ。

だが、急に口を開いた。


「ありがとう。あなたのおかげで私、少しだけ自分を取り戻せた気がした。」

「…は?」

「今までのも私、だったんだけど。私は相模静です」

女はペラペラと喋る。

「あなたを、この学校からだしますね」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!!今連れを…」

「どうしたの?進藤くん」

「翠さ…」

俺は目を丸くした。翠さんは、真っ赤…いや、制服や顔に血がついていた。まるで、誰かをメッタ刺しにしてついた血のように。

思わず翠さんの手をみる。

…鋏だ。

「翠さん!鋏を捨てて!」

翠さんは笑みを作りながら近づいてくる。

「翠さん!落ち着いてくれ!!」

俺は翠さんを抱く。腹に鋏が刺さる。



「ぁ…私…」



翠さんは俺の腹から鋏を抜き自分で自分の胸を刺した。

「翠さん!?」

「進藤く…ごめんなさ………やっと…出られる、のね?」

「翠さん!…あぁ!やっと、出られるんだ…一緒に」

「わたし、むり…みたいだよ?」

俺はとにかく翠さんの傷口を押さえる。

「進藤、は…ちゃんと…ここ…ら、で…」

「翠さん!?」

出血が問題だった。
翠さんは気絶をしていてまだ生きてはいる。

はやく、ここからでないと……

俺が翠さんを横にさせた時だった。

翠さんが急に冷たくなったのは。

「…え?」




「…生き返らせたいですか?」