「如月、奏太?」

まさか、な…

俺はふと、タスケテ、という文字とオマエモデラレナイ、という文字を見た。

「助けて、か…」


おそらく、この学校にいる幽霊とは、相模という少女だろう。

「ん?オマエラ“モ”?」


「うう゛う゛ううう゛ぁ」

突然、後ろから声が聞こえた。

さきほど俺に鍵のダイヤル番号を教えてくれた声だ。

「っぐぅ」

声の主は、鋏を持ち俺に突進して来る。

俺は迷わず抱き止める。


「ヴァア゛ア゛ア゛、あ…?」


鋏が俺の胸に刺さる。

「鍵…」

開けてくれて

番号教えてくれて

「ありがとう、な…」


「たすけ、られな…くて……」

ごめん。


奈津紀、俺、すぐに戻るとか言っときながら、戻れなかった。ごめん。