〈奈津紀と紫稀〉

わたしは肝試しなんて大嫌いだ。ばからしい。

だから、紫稀と相談して、私たちは外で待っていることにした。

なのに…

どうして事務室前玄関も、昇降口も開いてないの!?

鍵固いの!?

私は紫稀が止めるのも聞かずに、近くにあった傘立てをガラスに投げつけた。

何度も、何度も。

傘立てが変形するどに。

なのに、ガラスは割れないなんて…

「おかしい…」

そもそも、たたいているのに、振動がない。ガラスは全く揺れてないのだ。

「なんだ、これ」

紫稀が何かを見つけたみたいだ。

「ん?」

私が壊した傘立てに入っていた…鍵?

「どこのだろう?」

私はそれを受け取ると、とりあえずスカートのポケットに入れた。

「みんなをここで待ってようか」

紫稀が言う。

「だって、みんな鍵かかってるなんてわからないよ。必ずここに帰ってくる。」