真壁さんに言われたように、テーブルの前に座る。
手渡された紙をテーブルに置いた。
それは塾の申込書みたいなもので……。
「あの、私……」
まだ通うとは言ってない。
「ん?どっか、わからないとこでもあった?」
「いえ、そう言う事じゃなくて……」
「あー……鉛筆かボールペンなら、その辺のを適当に使って?」
「いや、そう言う事でもなくて……」
真壁さんと話がかみ合わない。
さっきも思った、この無理矢理な感じは何?
断る隙も与えてもらえない。
否定すればいいじゃない。
嫌なら嫌って、ハッキリ言えばいいじゃない。
通いたくないって、こんなところもう来ないって言えばいいじゃない。
そう思うのに……。
でも、断る隙を与えられなくても、無理矢理な感じでも、私は何も言えなくて……。
私は、テーブルの上に転がっていたボールペンを手に持っていた。



