日曜日――。
夕方、私は、あのマンションの真壁さんの部屋の前にいた。
呼び鈴を押そうか……どうしようか……。
指を出しては引っ込め、出しては引っ込めを繰り返し、多分、3分は経っている。
「そこで何してんの?」
えっ?
声がする方を向くと、そこには私くらいの女の子が立っていた。
肩まである髪は金髪で、グレーのスウェットにサンダル。
リュックを背負い、手にはストラップの沢山ついた携帯が握られている。
「えっと……あの……」
「春風ちゃんちに何か用?」
春風ちゃん?
女の子はそう言って、私に近付いてきた。



