そして、真壁さんが私に背を向けて歩き出した。
「あっ!そうだ!」
真壁さんは立ち止まって、私の方に振り向く。
「日曜日に、塾に来いよな!」
「えっ?」
「待ってるから!」
来いって言われても……私……。
「月謝、払えないから……」
「バーカ!ガキから金なんて取らねぇよ。ボランティアだ。ボランティア。だから絶対に来いよ!来なかったらデコピンするからな。それから今度から俺のことは“真壁さん”じゃなくて“先生”と呼べ。わかったな」
真壁さんは、そう言って再び歩き出し、私に背を向けたまま手を上げた。
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