階段の終わりに鉄製の扉が見えた。
扉の前に立つ。
“立ち入り禁止”と貼り紙がしてある扉。
所々、錆びている扉は古さを感じる。
もしかしたら、扉は開かないかもしれない。
私はドアノブに手をかけた。
微かに震える手。
暑さのセイなのか、それとも恐怖心からなのか、ドアノブを握っている手が汗で濡れている。
ドアノブをゆっくり回す。
“ガチャ”と音が聞こえ、そのままドアを押した。
“ギィー”と重たい音がして扉がゆっくり開いていく。
夏の太陽の光が射し込んで、思わず目を細めた。
私は、マンションの屋上に一歩踏み出した。



