【先生×生徒シリーズ】あの日、僕等が見ていた空




玄関が閉まる音が聞こえ、お兄ちゃんが出て行ったんだとわかった。


体を起こして、その場に立ち上がる。


身体中が痛い。


家の中で、私に自由な時間があるのは、お兄ちゃんが家にいないときだけ。


部屋を出て、ダイニングに置いてある冷蔵庫から水を取り出して、渇いた喉を潤す。


それからシャワーを浴びるため、お風呂場に行った。


服を脱いだ自分の姿が脱衣所にある洗面台の鏡に映る。


服で隠れた部分はアザだらけだ。


前髪を上げると、おでこに青アザが出来ていた。


お兄ちゃんは見えるところには暴力を振るわない。


見えないところを狙ってくる。


顔も前髪で隠れるとこだけを狙う。


新学期までに治ればいいけど……。


お兄ちゃんがいつ帰って来るかわからない。


お兄ちゃんがいないうちにシャワーを済ませなければいけない。


だからシャワーを早く済ませる癖がついた。


10分ほどでシャワーを済ませ、服を着替えて、自分の部屋に戻る。


そのままベッドに倒れ込むように寝転び、静かに目を閉じた。