「このアメ玉はね、魔法のアメ玉なんだよ」


「魔法の、アメ玉?」


「うん。ミィちゃんがね、泣いたら、ママが魔法のアメ玉をくれるの」



ミィちゃんと自分のことを言った女の子は、私の隣に座って、アメ玉を口にポンと入れた。



「そしたらね、魔法がかかるの」


「どんな魔法?」


「んーとねぇ……。元気になる魔法!」


「そっか……」


「だからね、おねーちゃんもアメを食べると元気になれるよ」



その時、少し離れたところから「ミィちゃん!帰るよ~」と女の子を呼ぶ声が聞こえた。



「ママが呼んでるから、バイバイ」



女の子は、ベンチから立ち上がった。



「バイバイ。ありがとう、ミィちゃん」



私は女の子に手を振った。


女の子も私に手を振って、ママのところへ走って行った。