「お前がさ、中学を卒業したら施設に迎えに行くよ」
そう言った先生は私の手をギュッと握ってきた。
冷たい風が吹き抜ける屋上で、先生の手は凄く温かくて……。
「住み込みで働く場所を俺んちにすればいい。俺に日和の夢を応援させてくれ。日和の傍で応援させてくれよ。俺が守ってやるから……。日和のことを一生、守ってやる。だからな日和……」
先生は一旦、そこで言葉を切った。
そして……。
「日和が16歳になったら、結婚しよう……」
先生は真剣な顔で、私の目を見ながらそう言った。
「先生……」
次から次へと溢れては流れていく涙。
「日和の返事を聞かせて?」
先生は笑顔でそう言うと、手を繋いでない方の手で私の頬に触れた。
私は先生の言葉に“コクン”と頷いた。
「ちゃんと日和の口から日和の言葉で聞かせろよ」
先生がそう言ってクスクス笑う。
「先生が、好き……。私も先生が、好き……」
だからね、先生……だから……。
「私も、先生と結婚したい。先生とずっと一緒にいたい、よ……」



