「私、夢を見つけたんです……」
「夢?」
「はい」
「先生が中学校教師時代の生徒さんだった彼女と同じ夢です……」
「えっ?」
先生が目を開け、顔を私の方に向けた。
「彼女の真似をしたわけじゃないんです。ただ、私も彼女と同じで自分と同じようにイジメや家庭環境、いろんなことで苦しんでいる人を1人でも多く助けたいと思って……。そういう仕事をするのが私の将来の夢です」
「日和……」
私は、お兄ちゃんの全てを奪ってしまった。
私は、ずっとお兄ちゃんを苦しめていた。
お兄ちゃん自身もずっと苦しんでいた。
生きる希望も夢もなかったあの頃……。
でも、お兄ちゃんが亡くなってから、私はずっと考えていた。
自分の将来のことを……。
お兄ちゃんの手紙を読んで、先生や仲間と出会って私は、ひとつの夢が出来たんだ。
生きる希望が出来たんだ。



