「なぁ、日和?」
「はい……」
私は目を開け、顔だけ先生の方に向けた。
「お前、これからどうするんだ?」
先生も顔だけ私の方に向けて、そう聞いてきた。
「えっ?これからですか?年明けには施設に行きますけど……」
「それはわかってるよ。俺が聞いてるのは、そのあとのこと」
「あとのこと?」
「中学卒業したらどうするんだってこと」
私は中学を卒業したら施設を出ることを決めていた。
施設にいるのは、たった数ヶ月だけだけど。
「施設を出て、住み込みで働けるところを探します」
「そっか……」
「先生?」
「ん?」
先生は再び上を向いて、頭の後ろで手を組んで目を閉じた。



