お兄ちゃんの部屋は、あの日のまま。
ゆっくりお兄ちゃんの部屋に足を踏み入れる。
何枚かの段ボール箱を床に置き、その1枚を組み立てた。
その中に、お兄ちゃんの私物を入れていく。
本やCDや置物や服……。
「……うっ……ふっ……うぅ」
段ボール箱にお兄ちゃんの私物を入れながら涙が込み上げてきた。
手で拭いながら段ボール箱の中に私物を入れていく。
本を詰めていた時……。
本と本の間から何かが落ちた。
それを拾い上げる。
手紙?
薄い緑色のシンプルな封筒。
…………えっ?
裏を見ると……。
そこには、お兄ちゃんの字で『日和へ』と書いてあった。
私は封をゆっくり開けていく。
中から封筒と同じ色の便箋が出てきた。
胸がドキドキする。
ふたつ折りにされている便箋。
それをゆっくりと開いた……。



