「わ、私!行きませんから!」 彼の背中にそう叫んだ。 行かない。 私は、もう死ぬんだから。 だから……。 「死に損なったらさ、来いよ」 彼は私の方へ向き、そう言ってニコッと笑った。 そして……。 「じゃあな。日和ちゃん」 再び手を軽く上げて、鉄製の扉の向こうに消えていった。 行かない……絶対に……。 もう、会うこともない。 私は、この世の中からいなくなる人間なんだから……。