「彼女にはな、ひとつの夢があったんだ……」
先生はそう静かに話し始めた。
「夢?」
私は先生の腰に抱きついたまま先生を見上げた。
「自分のようにイジメを受けている人や、何かで苦しんでる人を助けてあげられる仕事をすることが夢だって、そう話してくれたんだ……」
「その子の夢を先生が叶えたんですね」
「どうなのかなぁ?俺は彼女を守れなかったことが悔しくて、彼女のような子を1人でも救ってやりたいと思って、自宅で塾を始めたんだけどな」
「でも考えは同じでしょ?」
「まぁな……」
先生はそう言ってクスクス笑った。
彼女は、天国で喜んでるよ。
きっと……。
先生、ありがとうって……。