「だから彼女が、もう放課後に話をするのはやめようって言ってきてな。俺は彼女が立ち直ってくれたと喜んでた。大丈夫の言葉を信じて安心したんだ……」
「うん……」
「でもな、そう思っていたのは俺だけで……」
「えっ?」
「本当は全然、大丈夫なんかじゃなかった」
「どういう、こと?」
「俺と放課後に話してるのを他の生徒に見られて、噂が一人歩きしてしまってな……。彼女が俺を誘惑してるとか……。彼女は俺に迷惑かけたくなくて嘘をついたんだ。でな、その日の夜に……」
先生はそこで一旦、言葉を切った。
「死んだんだ……」
「……ッ!」
喉の奥から込み上げてくる声にならない声が出た。
手で口を押さえ、目を見開き先生を見る。
「自宅マンションから飛び降りて……自殺だった……」
先生は声を震わせながら静かにそう言った。



