「皆が仲良くて明るくて笑顔が絶えなくて……。
新任なのに、そんなクラスにした俺、すげー!って自分に酔ってたんだ。
だから彼女の話を聞いた時にはショックが大きかった。
で、彼女をイジメてるグループを呼びだして話を聞こうと思ったんだ。
お互いの話を聞いて、解決するのがいいと思ったから……。
でも、彼女に止められたよ。
絶対に言わないでって。
言ったら余計に酷くなるから。
私さえ我慢すればいいからって……」
「うん……」
「だからイジメグループに言わない代わりに、小さなことでもいいから何かあったら必ず俺に話せって言った。
話を聞いてやることで彼女の悲しみが少しでも軽減されると思ったんだ。
彼女はわかったって笑いながら言ってくれてな……」
「うん……」
「それから放課後に、彼女と屋上で話をするようになった。
今日は、こんなことがあったとか、どんなことがあったかとか、学校であったことからプライベートなことまで話をするようになってたんだ。
で、ある日、彼女が自分は先生と話をして少しだけ強くなった気がするって言ったんだ。
だから、もう大丈夫だって。
イジメに立ち向かう勇気も先生からもらったって……。
そう言ってくれたんだ……」
彼女が立ち直ってくれて良かった……。
先生の話を聞いて、心からそう思った。



