「塾の先生、だったんですか?」
私は彼と手に持った名刺を交互に見た。
こんな人が塾の先生なんて……。
てか、名前……何て読むんだろう……。
「まぁ、こう見えても一応、な……。それから聞かれる前に言っておくけど、そこに書いてある俺の名前“ハルカゼ”じゃなく春風と書いて“ハルカ”だから。真壁春風(マカベ ハルカ)それが俺の名前」
真壁、春風……。
女の子みたいな名前。
でも綺麗な顔立ちの彼にはピッタリな名前。
「春生まれだからって、ハルカなんて名前付けられて、女みたいとか言われてさぁ……。しかも漢字が春風だから、これ、何て読むんですか?って100パー聞かれるわけよ。こんな名前を付けた親を恨むわ」
彼はそう言ってクスクス笑った。



