私の肩を掴んでいた手の力が緩んで、体がフワッと軽くなった。 私の隣で項垂れているお兄ちゃん。 “ポタ――ポタ――”と、お兄ちゃんの目から大粒の涙が零れ落ち、床を濡らしていく。 お兄ちゃん?泣いてるの? 私は、お兄ちゃんの方へ手を伸ばした。 「さわるな!」 お兄ちゃんはそう言って、私の手を払いのける。 「お兄、ちゃん?」 お兄ちゃんは私の呼びかけに返事をすることなく、ゆっくり立ち上がると自分の部屋へ入っていった。