お兄ちゃんが私の髪の毛を離した時、私は這って玄関まで行こうとした。
「待てよ!」
だけど、再びお兄ちゃんに髪の毛を掴まれる。
そして、お兄ちゃんは私の体の上に馬乗りになった。
「そんなに、あの男がいいのかよ。俺よりあの男に抱かれる方がいいのかよ!」
私の肩を掴んだお兄ちゃんは、そう言いながら私の体を力強く揺すった。
上半身が前後に激しく揺れ、ガンガン床に叩きつけられる。
「何とか言えよ!なぁ、日和!」
目に溜まった涙でお兄ちゃんの顔が歪んで見える。
瞬きすると、目に溜まった涙は目尻を通って流れ落ちていく。
「お兄ちゃん……。おかしいよ……狂ってるよ……」
私は静かにそう言った。



