お兄ちゃんは私から離れると、机の上にネコのぬいぐるみのキーホルダーを置いた。
そして、勝手に机の引き出しを開けて行き、ハサミを見つけるとそれを手に持った。
「お兄、ちゃん?」
お兄ちゃんは私の問いかけに無視して、ハサミを持った手を高く振り上げた。
えっ?お兄ちゃん?
何して……。
次の瞬間、お兄ちゃんはハサミを振り下ろした。
先生にもらったネコのぬいぐるみのキーホルダーに向かって。
“ザクッ”と音がして、ネコのぬいぐるみのキーホルダーにハサミが食い込む。
何度も何度もネコのぬいぐるみのキーホルダーにハサミを振り下ろしていくお兄ちゃん。
原形を留めていないネコのぬいぐるみのキーホルダー。
「いや……。お兄ちゃん、やめて!やめてよ!!」
私は泣きながら再び、お兄ちゃんの足にすがった。



