声にならない声が出る。
私のお腹や背中を蹴り続けるお兄ちゃん。
「やめ、て……。お願い……」
「うるせぇ!俺から全てを奪ったくせに……。男とイチャイチャしやがって!」
そう言いながら私の背中を蹴る。
「違う……。そんなんじゃない!」
違う、先生とはそういう関係じゃない。
「お前はさぁ、俺から全てを奪ったんだよ。夢も希望も何もかも奪ったんだよ。わかってんの?なぁ?そのセイで俺がどんだけ苦労してるのわかってんのかよ!毎日、毎日、どんな思いで生きてんのわかってんのかよ!」
蹴るのをやめたお兄ちゃんは、私の髪を引っ張り上げ、顔を近付けてそう言った。
「なのに、お前は男とデートかよ」
お兄ちゃんはそう言って鼻で笑った。



