先生はそれ以上、何も言わず私が泣き止むまで、ただ、頭を優しく撫でてくれていた。
どれぐらいの時間、先生は私を抱きしめてくれていたんだろう……。
「先生?」
「あ?泣き止んだか?」
私は“コクン”と頷く。
「やっと泣き止んだか。ホントにお前は泣き虫だよな。細い体のどこにそんな大量の水分が入ってんだよ?お前、いつか体が干からびるんじゃね?」
先生はそう言って笑ってた。
「……ぷっ」
そんな先生を見て、私は思わず吹き出してしまった。
「なんだ?日和。お前、笑えるんじゃん」
「えっ?」
「日和の笑った顔、初めて見たかも」
「そ、そうですか?」
「あぁ。ガキはさ、ガキらしく、そうやって笑ってればいいんだよ」
先生はそう言って、再び私の頭を撫でてきた。



