“バシャ!”


一瞬、何が起こったのかわからなかった。


前髪からポタポタと落ちる雫。


制服も食べかけのサンドイッチも水浸し。


ドアの外からはクスクスと聞こえる笑い声。


前髪から落ちる雫、濡れた制服を見て、水をかけられたんだとわかった。



「いい気味。でも、もっと苦しめなきゃね」



マイの言葉が胸に突き刺さる。


再びトイレの中が静かになった。


“もっと苦しめなきゃね”


マイが最後に言った言葉が頭の中で繰り返される。


両親が事故を起こした時の被害者がマイの彼氏だった。


初めて知る真実。


私は、皆を苦しめてる……。


私のワガママで皆を苦しめてるんだ。


亡くなった両親もお兄ちゃんもマイも……。


やっぱり、私は――……。