朝、制服を着て部屋を出ると、ダイニングテーブルの上に500円玉が1枚置いてあった。
それを取り、空っぽの財布に入れる。
お兄ちゃんが置いてくれた昼食代。
私が通う学校は給食がない。
お昼は、それぞれ用意したものを食べる。
学校がある日は、こうして500円をテーブルの上に置いてくれている。
それは自分の評価が下がらないため。
いいお兄ちゃんを演じるため。
妹が学校で恥をかかないためじゃなく、全ては世間体のため。
夜勤明けで帰って来たお兄ちゃんは、部屋で寝ている。
お兄ちゃんを起こさないように玄関に行き、ゆっくり玄関を開け外に出た。