お腹は空いている。
メニューを見て、あれも食べたい、これも食べたいと思う。
でも、遠慮している自分がいて、その理由もわからなくて……。
「わかんない、です……」
私は、そう呟くように言うと下を向いた。
「わかんねぇんだったら遠慮なんかすんな。ほら、早く決めろよ。決めねぇんだったら、また俺が勝手に決めんぞ?」
先生にそう言われて、私は再びメニューに目をやった。
「じゃあ……これで……」
トマトソースのパスタを指差してそう言った。
先生が呼び出しボタンを押して、店員さんに注文する。
店員さんが去ったあと、先生は席を立ってドリンクバーコーナーへ行ってしまった。



