「バ、バカ!そんな礼を言われる筋合いなんて、ねぇよ!」
先生はそう言って、メニューを手に取った。
「さて、何を食べますか?」
私はメニューを見る。
「好きなもん食えよ」
先生もそう言ってメニューに目を通していく。
「あの、あまりお腹空いてないんで……」
この前と同じ理由で、私はメニューから目を離した。
「何?また遠慮してんの?」
先生の言葉に返事をすることなく、私は首を左右に振った。
「じゃあ、何?」
なんだろう……。
自分でも理由がわからない。
でも先生に、ごちそうしてもらうってことが何となく悪いように思えて……。



