店を出て少ししたところで後ろにひっばってきた市原を振り返った。 「……なんかごめんな。今日はお前に恩返しするつもりできたのにな。」 「いえ!全然!楽しかったです。ありがとうごさいました。こちそうさまです。」 そういった市原の顔は 俺がはじめてみる表情だった。 それは 本当は泣きたいけど我慢して笑ってる そんな表情だったから 俺は思わず 掴んでいたその手を 自分の方に引き寄せてしまった。