「あ、いた」と携帯を耳から話して、みほちゃんは小さく手を振る。
真っ直ぐ前を見ると、こちらへと近づいてくる二人組。
……嘘。と思った。
忘れかけていた記憶が、舞い戻ってくるように頭に浮かんだ。
「遅れてごめんな」
「大丈夫だよ」
私はただ固まって、背中を向けるみほちゃんを見ることしか出来ない。
さっき口を開いたのは、いつも美術の時間に見る“伊吹隼人”だ。
黒いTシャツにジーパンとシンプルな服装なのに、まるで芸能人みたい。
話している二人を見ていると、すごく仲よさげにみえた。
この様子を見ていると、この二人に気まずい感じはなさそう。
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