「お爺ちゃん、旅行に行くの?」
「行くよ」
会っていなかったせいかそんなことは全然知らなくて、急に感じた。
そんなこともあって、しばらくお爺ちゃんと旅行の話で盛り上がったのだった。
私は、自転車のカゴにスーパー袋を入れた。
重みのせいなのか、ぐらぐらと不安定に右へ傾く。
「じゃあね、お爺ちゃん」
そう言いながら笑顔を向けると、私は自転車へと跨る。
お爺ちゃんは微笑むと手を広げてぱくぱくさせた。
昔から変わらないばいばいの仕方。
「じゃあね、あ……野菜ありがとう」
勢い良くそう言うと、コンクリート蹴って力強くペダルをこいだ。
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