私は、そのときみほちゃんが皆にバレないようにピースをしていたのを見逃さなかった。
良かった……あの人がみほちゃんの“好きな人”だったことは間違じゃ無かった。
ほっとして、不安な気持ちが消える自分が嫌になる。
……私のせいでみほちゃんが遅刻しちゃったのに。
少しもやもやした気持ちのまま、50分の授業は過ぎていった。
「わっ」
いきなり両肩を叩かれて、思わずそう声を漏らす。
驚きながら後ろを振り返ると、満面の笑みを浮かべたみほちゃんが私の肩を掴んでいた。
「さくちゃん、ありがと!」
「……え」
もやもやを引きずっている私は、その一言に驚いた。
「ありがとね、さくちゃん!」
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