「お爺ちゃんっ」
自転車に乗りながらそう言うと、お爺ちゃんはゆっくりと振り向く。
自転車に降りると、平地のところに止めた。
どうやら、お爺ちゃんは鍵を直していたところだったらしい。
何でもお爺ちゃんは自分で修理する、前は洗濯機を直していたところを見た。
すごいなあ、ていつも目にしてそう思う。
「桜」
「野菜、取りに来たよ」
「あぁ、お母さんが行ってたなぁ」
思い出した様にそう言うとお爺ちゃんは中にへと入って行った。
小さな折りたたみ椅子に乗っている麦わら帽子を見つめながら、中に聞こえる様に声を張り上げる。
「お婆ちゃんは、出掛けてるの――?」
「散歩に行ったよ」
ゆっくりとした口調でそう言いながら中から出てきた。
そして、スーパー袋を差し出す。
「お爺ちゃん、ありがとう」
それを受けると、以外にもずっしりと重かった。
「明日旅行に行くから、多めに入れたよ」
見かねた様にそう言うと、お爺ちゃんは優しく微笑んだ。
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