「は、お前が桜かよ?」
「いいだろ?春っていえば桜じゃね?」
左端から、そんな会話が丸聞こえだ。
ふとその方向を見ると眼鏡越しから、独りの男の人と目が合った。
ドキッとして、眼を逸らす。
―――私、どこかで………あ。
ストレートな黒髪、黒縁眼鏡の奥に見えた切れ長の二重の眼。
……見覚えがある。きっとあの人に間違いない。
雰囲気は違っても、あのとき見た…ううんみほちゃんの“好きな人”だった。
まさか、カフェに居たときは、私たちと同い年なんて思いもしなかった。
今、斜め前に座ってるなんて……。
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