女の子に駆け寄ると、膝にゆっくりとハンカチを当てる。
すると、女の子の表情が歪んだ。
私は「大丈夫だよ」と励した。
ぽんぽんと数回、ハンカチで汚れを落としていると
「おねえ、ちゃんの…ハンカチがよごれちゃう……」
消え入りそうな声でそう言う女の子。
―――なんて、いい子なんだろうと思った。
「大丈夫だよ」
ニッコリと笑うと、私は持っていた絆創膏を貼った。
それは、ハンカチに包んでいたもの。
『怪我している人が使うべきだよ』とくれたあの絆創膏だった。
何でなのか分からないけれど、使うのに全然ためらいは無かった。
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