横に鞄を掛けると、ふいに窓に透ける空を見上げた。 雲一つも無い、薄い色をした青い空。 入学したあの日の空は、灰色の空だったな。 あの時、中に入ると、もう友達の輪が出来ていてざわざわとしていた。 人見知りの私は、それを横目で見ながらそっと自分の席へと座ったんだ。 ……誰も、ぽつり座る私には、気づかない。 ふと、そんなこと思い出していると、少しずつ教室の中がざわざとしてきた。 あの時のように風景は変わらない。 .