窓に開いた心地よい風が私の頬をなで、暖かい光が部屋の中に差してくる。



ふと時計を見ると11時25分。今は春休みの真っ只中だ。



春休みの宿題も出なく、毎日こうやってぼーと、している。



いつも通り、私は意味もなく椅子を足で回転させていた。



回りながら右手に、持っているあの絆創膏をボーと見る。



膝を覆っているのは、お母さんがくれた絆創膏。



あの男の子は『怪我している人が使うものだよ』と言ってたけれど……。



あれから四日が立っても、ふと無意識に出てくるあの男の子。


ただ偶然に出会って、風のように去っていた人なのに。



―――ずっと、あの記憶が頭の中に張り付いているんだ。




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