ちょっとな、か。


はぁ…また何かあったのか。


何も言ってこないし、話してくるまでそっとしとくか。


「…姫華、起こしてくる」


そう言って、その場を離れた。


コンコン。とノックするが、返事がない。


…まだ寝てるのか?


静かに扉を開けると、穏やかな寝息が聞こえる。


まだ寝かせてやりたいが…もう昼だし、ご飯食べねぇといけねぇから起こすか。


「姫…」


“姫華”と言おうとしたが、途中でやめた。


だって…。


「…ヒック…しゅ…ヒック…」


姫華が泣いていたから…。


好きな奴がすぐそこで泣いてんのに…。


俺はっ…何も出来ないっ…。