君がくれた。


康史とそんな軽口を交わしながら、朝食 を無事済ませると身支度を整え家を出る 。 昨夜とは違い見上げた空はどこまでも晴れ渡っていて、雲一つ無いその青空に私は瞳を細めてしまう。 暫くするとシャッターを開けた康史がバイクを引いて現れ、渡されたメットを受け取ると慣れた動作でその後ろに乗った 。

「相変わらず綺麗な蒼だね、康史のバイ ク」

「美人だろ?大事にしてっからな。さぁ て、いきますか」

康史のバイクの後ろで見慣れた街並みを 眺めていると、あっという間に今日から 通う高校が見えてきた。 元男子校の名残から男子の入学者が多いその高校は、いわゆるこの地域じゃそこそこ有名なバカ高。 近年じゃ一番酷かった頃に比べて偏差値 も上がってきてるらしいけど、詳しい事はよくわからない。

「ありがと、康史」

「おう、まあ適当に頑張れよ」

初日から変に目立つのを考慮してくれた のだろう、学校の裏門側にバイクを止め てくれた康史にメットを渡して礼を言う 。