私は軽く手を振って返事を返すと二階へ続く階段をのぼり、鍵を開けて部屋へ入る 。 冷えきった身体を温める為にお風呂にお湯を張り充分に温まってから、柔らかなベッドに入り眠りについたのだった。




翌朝、しつこく鳴り続ける携帯アラーム を片手に、耳障りな目覚まし時計を止める。 低血圧の朝はどうやっても最悪な気分で 、眉間に皺が寄るのを止められない。 それでもどうにかベッドから這い出ると 、カーテンを開けて眩しい日の光を浴びた。

一年と少し遅れて通う事になった高校の制服が、部屋の角にかけられている。 そのよくある紺のブレザーへ手を伸ばし 、着替えを終えると洗面を済ませ鏡にうつった自分を見つめた。

「…いってくるね」

左の耳元に光るピアスへ指先で触れそう呟くと、胸がキュッと締め付けられる。 そうして暫く痛む胸を押さえ、私は朝食を摂るためにリビングへ向かった。