奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~

暫く他愛のない話をしていると、日下部さんがズボンのポケットから携帯を取り出した。



「ごめん、会社から電話だ」

「私の事は気にせず出て下さい」



日下部さんは電話に出ると、真剣な顔つきになる。


仕事の話をする時はこんな顔するんだ。


知らなかった。


優しい雰囲気だなってずっと思ってたけど、今の顔は凛々しくて頼りになる雰囲気。


社内で人気がある理由が分かった気がする。


日下部さんは電話の通話口を手で押さえ、私の顔を見た。



「ちょっと長引きそうだから、外で話してきてもいいかな?」

「勿論です。 私ここで待ってますね」

「本当にごめん」



申し訳なさそうな顔をした日下部さんは、再び電話を耳にあて、話をしながらお店を出て行った。


こんなに煩い場所じゃ落ち着いて話しできないよね。


休みの日にまで仕事の電話が掛かってくるなんて大変だな。


それに比べて受付の仕事はほぼ残業はないし、休日出勤はありえないし、休日に仕事の電話も掛かってこない。


刺激は感じられないけど、こういう面では良かったのかなと思う。