奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~

車を走らせる事数十分。


映画館が入っているショッピングモールの地下駐車場に、車を止めた。


車から降りると、日下部さんにまじまじと見られた。


一人オロオロしてしまう。



「プライベートではカジュアルなんだね」



通勤の時は派手だったり、ラフな格好はしない。


いつもオフィスカジュアルで、清潔感のある服装を心がけている。


社員だったり、お客様、いつ何処で誰に見られているか分からないから。


でも今日はプライベートだから、スキニーデニムにTシャツ、ジャケットを着ている。



「あ、はい……、仕事の時と気持ちを切り替えたいので……」

「会社の時の服装も素敵だけど、今日の服装も似合っていて素敵だよ」

「あ、ありがとうございます」



面と向かって雄に褒められるのは久しぶり過ぎて、恥ずかしくて咄嗟に俯いてしまった。


いや、相手をただの雄だと思っている相手ならここまで恥ずかしい気持ちにはならないかもしれない。


雄ではなくて、日下部さんの事を少なからず異性として意識しているのかも……なんていう考えが頭を過ぎる。


隣を歩く日下部さんとの間には人一人入れるくらいのスペースがある。


この距離を縮めてこようとしない日下部さんは、私に気を遣ってくれているんだろう。