奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~

病院に連れて行った帰り道、ゆっくり歩く私の腕の中で猫ちゃんはぐっすり眠っている。


体中酷い打撲らしいが、幸い骨や目には異常はないとの事。



「怖かっただろうね、この子……」

「文美」

「んー?」

「ありがとな」

「何言ってんの。春ちゃんが気が付いたからこの子助かったんだよ。私はお礼を言われる様な事なんてしてないよ」



春ちゃんの優しい眼差しに、不覚にも見惚れてしまった。


男の人を綺麗だと思ったのは初めて。


春ちゃんは今まで出会った雄たちとは違うような気がした。



「入んねぇの?」

「……入るよ」



見慣れた一軒家の玄関先で佇む私。


車庫にはmyマザーの愛車がばっちり止まっている。


目の前の開けなれたドアを開けるのが怖い……。


しかしずっとここに立っている訳にもいかず、私は覚悟を決めてドアを開けた。



「今の今まで何処で何をしてたの?」

「…………」



さっそく玄関で待ち構えていたのは、腰に手を当て仁王立ちしているお母さんだった。


普段怒んないから本気で怖い……。