奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~

それにしても、あいつは他に行くとこないわけ?


どれだけ受付ロビーが来賓客で込み合っていても、誰も座らない席があった。


そこには普通の人には見えない奴が座っている。


地縛霊の様に……。


こんな所に居たって楽しくないだろうに。


仕事をしていると、雄霊からの視線をちょくちょく感じるが気付いていないふりを極め込んでいる。



「本当にもう大丈夫なの?」

「大丈夫だよっ。そんなに心配してくれるなんて、桃花からの大きな愛を感じるっっ」

「いつもより真面目に仕事してるから、頭打って可笑しくなったんじゃないかと思っただけよ」



なんて酷い言われよう……。


そして言い返せない程普段適当な私。


仕事してる方が雄を意識しなくてすむ。


雄の事なんて考えたくもないのに、突如現れたあいつのせいでそうもいかなくなっている。


あいつのペースにまんまと嵌められている気がして無性に腹が立つ。


でもこの何とも言えない苛つきをどう消化すればいいのか分からなかった。