奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~

私は男性から目を逸らすことが出来なかった。


胸がヤバイくらいドキドキしている。


春、ちゃん?


ううん、そんなはずない。


だって春ちゃんはもういない。


ただの他人の空似。


春ちゃんじゃないと言い聞かせ、私はパーティーホールのドアに手をかけた。



「っ!?」



突然腕を掴まれ身体が強張る。


な、何!?



「シカト?」



この声……。


声まで同じ……。



「おい、聞いてんのかよ? 相変わらず間抜けな顔」



喋り方や言葉遣い、表情の作り方。


全てが春ちゃんと重なる。



「文美」



え?


今、名前……。



「何処かでお会いしました?」



声が震える。


あり得ない希望が芽生える。



「冷てぇ奴。 俺はお前の事を忘れた事なんて一度もない。 俺の事を“春ちゃん”なんて呼ぶ奴は文美ぐらいだよ」



ドッと涙が溢れた。


信じたいのに信じるのが怖い。



「止めてよ!! 春ちゃんはもういないの!! 何が目的か知らないけど、からかわないでよね!!」