奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~

お店を出ると、日下部さんはすかさず『送るよ』と言ってくれた。


近いし慣れた道だから大丈夫だと断ったが、親切にも送ってくれた。


季節は春だが夜はまだ肌寒くて風が吹くたびぶるっと震える。



「今日はありがとうございました」

「こちらこそ。 楽しかったよ」



視線がぶつかったままお互い無言になる。


逸らしたくても逸らせなかった。


お酒で熱くなった頬が、更に熱くなる感じがした。


どれくらい無言でいたか分からないが、その無言を日下部さんが破った。



「もしも……もしも海外赴任になったら、ついてきてくれないか?」

「え……でも……私……」



思いもよらない言葉に驚き過ぎて、戸惑った。



「今付き合ってるわけじゃないし、こんな事言うのは間違ってるかもしれないけど、結婚を前提に付き合いたいんだ」

「…………」



日下部さんからの二度目の告白に、まだ返す言葉が見付らなかった。



「赴任の話は来月には固まると思うから、考えておいて欲しい」

「……分かりました」

「ありがとう、それじゃあ、おやすみ」