奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~

車内という密室空間。


隣には春ちゃん。


こうして車で隣同士で座ったのは初めて。


隣に座った事なんて数え切れないくらいあるのに、このシチュエーションはなんだかドキドキしてしまう。



「春彦君はいくつなの?」

「春ちゃんは生きてた頃の事を覚えてないの。 名前しかわかんないんだよね?」

「……あぁ」



春ちゃんに話をふると、なんともそっけない返事が返ってきた。


さっきまではあんなにテンション高かったのに……。



「早く思い出せたらいいね」



歩君の何気ない一言。


それは彼にとっては優しさ。


だけど、その言葉は私の胸にほんの少し傷を負わせた。


春ちゃんが記憶を取り戻したら、もしかしたら、成仏してしまうんじゃないだろうか。


もう一緒にいられなくなるんじゃないだろうか……。


もしそうだろしたら、記憶なんて取り戻して欲しくない。



「これから沢山思い出作っていけばいいじゃん! 今のままでも春ちゃんは春ちゃんなんだしさ」

「文美……あぁ、そうだな」



柔らかい笑みを見せてくれて、ホッとした。